キハ181系特急型気動車

urano_kazumi2010-11-03



今般、あたしが荒行の様な24時間旅行に出た主たる目的はコレでした。
この列車に乗りたいが為に、はるばる鳥取まで足を伸ばした次第であります。





まずは説明代わりに、以下の動画をご覧ください。
人様の映像を勝手拝借で恐縮ですが、とても良くまとまっております。
PV風に音声が付いているので、観やすいと思います。


http://www.youtube.com/watch?v=S8AZZ7bh2kc



架線からの電気で走る“電車”では無く、気動車と呼ばれる
車体の床下に搭載された、ディーゼルエンジンを動力源に走る列車です。
首都圏に住むあたしにとって、この気動車に触れる機会は滅多にありません。
まして特急型ともなれば、ますますもって遠い存在に。


一目見て判ると思いますが、この車両はかなりの古参であります。
ほとんどが40年選手・・・あたしよりもずっと年上(笑
いわゆる国鉄型』と呼ばれる、JR化される遙か昔に作られたモノであります。
今・・・この国鉄型特急車両が、全国的に淘汰される傾向にありまして
今回乗車したキハ181系も、定期運用されているのは日本でただ一ヶ所のみ
大阪から、東海道山陽播但山陰の各線を経由して
香住・浜坂・鳥取へ至る、今回乗車したはまかぜのみなのです。
そして・・・そのはまかぜも、11月7日より新型車両に代替されてしまうので
わざわざこのタイミングで乗りに行ったと言うワケなのです。。。



40年選手のディーゼル車ですから、さぞかし車内は賑やかだろうと思っていました。
しかしながら大阪を発車した瞬間、あまりに静かなので肩すかしを食った感じ(笑
もちろん、独特のエンジン音は聴こえてはくるのですが・・・。
後に調べた結果、当時の車両は防音対策におカネがしっかりかけてあるのと
そもそもの構造が今時の軽量車体よりもガッチリとしていて、そのおかげで静かなのだそうで。。。


最も味があるのは・・・列車が動き出す、まさにその瞬間です。
ゴーゴーとエンジンの回転が上がっても、列車そのものはピクリともせず。
ワンテンポ遅れて、スッと車輪が転がり出します・・・。
その感覚は、ジェット旅客機がテイクオフする瞬間に似ているかもしれません。
運転士の微妙なマスコン操作を感じられる、この気動車ならではのモノ
伝わるかなぁ〜・・・伝わらないよね?(汗


大阪姫路区間は、目まぐるしく走る電車の間を縫って走ります。
その生い立ちからして・・・この車両は意外と高速走行が得意なのです。。。
出だしこそスローではありますが、一旦車輪が転がってしまえば加速は割と良かったり
最新の通勤型電車と伍して突っ走る姿は頼もしさすら感じます。
実際、複々線区間では120km/hは出ているであろう快速列車とのバトルシーンもあったりして
鉄道好きにはたまらないモノがあります(笑


姫路において、列車の進行方向が変わります。
そこからは播但線、とたんに車窓から見える景色が一変
ローカル色が豊かになります。
線路の規格も明らかに低くなり、ガタンゴトンという小気味よいジョイント音と振動が
なんとも旅情をそそるのです・・・。


途中の寺前から非電化区間・・・つまり線路の上に架線の無い状態
いよいよディーゼルの本領発揮と言った感じでしょうか
景色も山岳地帯と言った感じになり、列車の速度がグッと落ちて来ます。
このキハ181系、1両あたり500馬力の高出力エンジンを搭載しているのですが
それでもやっとこさっとこ登っているといった感じで、エンジン音はつねに高い状態
サミットに当たる生野までは、そんな感じで進みます・・・。


生野を越えると、下りになるので急に軽やかに走り出します。
やがて和田山・・・ココからは山陰本線、ふたたび架線の下の走行になります。
しばらくすると、右手に見えるは日本海の荒波
つい1時間半前に、明石付近で太平洋のべたなぎを見て来たばかりですから
この瞬間・・・この列車が紛れもなく“陰陽連絡”の一翼を担っているコトを感じます。


城崎温泉で過半の乗客が下車、ココからは再び非電化の線路を走ります。
カニで有名な香住を過ぎ、途中の鎧という駅を通過・・・その後トンネルを3本くぐります。。。
直後にパッと景色が開ける瞬間・・・ココが有名な余部橋梁になります。
本当は鉄橋時代に渡りたかったのですが・・・残念ながら、今はコンクリート製の新橋
しかしながら、なるほど感動させられる景色の良さは体感できました。。。




海側にチラっと見えているのが旧余部橋梁、一部分だけは今後も保存されるらしいです・・・。



餘部を過ぎると・・・終点の浜坂はもうすぐそこ
営業キロ:232.5Km 乗車時間:3時間41分
はまかぜの旅は終わりを告げるのでありました・・・。





姫路列車区には多いらしい女性車掌さん・・・美人(笑



この後・・・1時間20分程の待ち時間を経て、普通列車鳥取
大阪を9時36分に出発しましたので、所要時間としては5時間半強かかったコトになります。
大阪方面への陰陽連絡と言えば、今の主役は智頭急行経由のスーパーはくと
コレに乗りますと、鳥取大阪が最速で2時間20分ほど
仮に乗り継ぎ時間を考えなかったとしても、コレでは全く勝負にはなりません(苦


しかしながら・・・播但線経由のこの区間、日本の原風景と言った車窓がひろがり
実に旅情を掻き立ててくれるのです。。。
そして、最初で最後になってしまったこのキハ181系で過ごした時間
何と言うのかな・・・とっても優雅な気分でいさせてくれました。


新幹線をはじめ、今となっては特急列車に乗るコトは決して珍しくはありませんが
この車両が生まれた40年前と言えば・・・特急という存在そのものが贅沢であり
乗客もそれなりに身構えて、座席に深々と腰をおろしたのだと思われます。
威風堂々とでも申しましょうか・・・そんな折り目正しさが、老体ながらこの車両にはありました。
それが嬉しかったのです。。。


実に貴重な経験をさせていただきました♪